5,000万円の相続税はいくら?── 家族構成で0円〜160万円

遺産が5,000万円のとき、相続税は0円〜約160万円です。同じ5,000万円でも、相続する人が配偶者と子2人なら約10万円、配偶者と子3人なら0円、子1人だけなら約160万円と、家族の人数でここまで変わります。あなたの家の目安は、家族構成を選ぶだけで3秒でわかります。
| あなたの家族構成 | 5,000万円のときの相続税(目安) | この記事の読み方 |
|---|---|---|
| 配偶者と子2人(相続人3人) | 約10万円 | 計算機で3秒試算 |
| 配偶者と子1人(相続人2人) | 約40万円 | 計算機で確認 |
| 子どもだけ1人(相続人1人) | 約160万円 | なぜ高い?を読む |
| 配偶者だけ/相続人4人以上 | 0円 | 無税ラインを確認 |
※ あくまで目安です。分け方や割引の使い方で変わります。「配偶者と子」の金額は、配偶者が法定の割合で相続し、配偶者の割引を使った後の税額です。
この5,000万円が実家などの不動産中心の方は、数え方しだいで結論が変わります。不動産は売値ではなく評価額で数えるため、実は0円になりやすいからです。土地の評価額の調べ方は評価額のしくみの記事もあわせてご覧ください。
この記事を読むと:
- 家族構成を選ぶだけで、5,000万円のときの相続税の目安が3秒でわかります(計算機)
- なぜ同じ5,000万円で0円〜160万円まで変わるのか、その理由がわかります(基礎控除)
- 0円でも申告が必要な場合と、期限までにやること4つがわかります
結局、5,000万円の相続税はいくら?

ひとことで言うと──5,000万円の相続税は0円〜約160万円です。金額は「相続する人が誰で、何人か」でほぼ決まります。人数が多いほど安く、少ないほど高くなります。
| 家族構成(法定相続人) | 5,000万円のときの相続税(目安) |
|---|---|
| 配偶者と子1人(相続人2人) | 約40万円 |
| 配偶者と子2人(相続人3人) | 約10万円 |
| 配偶者と子3人(相続人4人) | 0円 |
| 子どもだけ1人(相続人1人) | 約160万円 |
| 子どもだけ2人(相続人2人) | 約80万円 |
| 配偶者だけ(相続人1人) | 0円 |
相続税は、亡くなった方の財産を家族が引き継いだときにかかる税金です。ただし、5,000万円くらいの遺産では、かかる家庭とかからない家庭に分かれます。
表を見てください。同じ5,000万円でも、相続する人が多いほど相続税は安くなります。配偶者と子3人なら0円、配偶者と子2人でも約10万円です。一方で、子ども1人だけが相続すると約160万円。この差が生まれる理由は、次の「無税ライン」で説明します。
まず「相続人が誰か」を確認する
配偶者は、いれば必ず相続人になります。それに加えて、①子ども → ②親 → ③きょうだい の順で、いちばん先の順位の人だけが相続人になります。子どもがいる家庭なら「配偶者と子ども」、独身で子どもがいない方なら「親」や「きょうだい」です。
だれが相続人になるかで人数が決まり、人数で税額が決まります。まずは「うちの相続人は誰で、何人か」を確かめるのが第一歩です。
あなたの家はいくら?3秒で試算
ひとことで言うと──下の計算機で「家族構成」と「遺産総額」を選ぶだけです。5,000万円を中心に、少し前後の金額も試せます。同じ5,000万円でも家族構成で税額は大きく変わります。
| 遺産総額 | 配偶者と子2人 | 子2人だけ | 子1人だけ |
|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 0円 | 0円 | 約40万円 |
| 5,000万円 | 約10万円 | 約80万円 | 約160万円 |
| 6,000万円 | 約60万円 | 約180万円 | 約310万円 |
| 7,000万円 | 約110万円 | 約320万円 | 約480万円 |
家族構成と遺産総額の2つがわかれば、相続税の目安は出せます。細かい財産リストは、この段階ではまだ必要ありません。
配偶者がいる行は、税額が小さくなっています。これは配偶者の割引が効くからです。同じ5,000万円でも、配偶者がいるかどうか、子どもが何人かで、金額は何倍も変わります。
この数字の前提
「配偶者と子」の金額は、配偶者が法定の割合(半分)を相続した場合の税額です。実際の分け方が違えば、税額も変わります。また、きょうだいが相続すると税額が2割増しになるルールがあり、計算機はそれも反映しています。正確な金額は、財産の評価額と分け方が決まってはじめて計算できます。
なぜ同じ5,000万円で金額が変わるの?

ひとことで言うと──だれの財産にも「無税ライン(基礎控除)」があり、その大きさは相続人の人数で決まるからです。ラインは「3,000万円+600万円×相続人の数」。5,000万円がこのラインを超えた分にだけ税金がかかります。
| 法定相続人の数 | ここまで無税(基礎控除) | 5,000万円との差 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 1,400万円に課税 |
| 2人 | 4,200万円 | 800万円に課税 |
| 3人 | 4,800万円 | 200万円に課税 |
| 4人 | 5,400万円 | 0円(全額が枠内) |
相続税には「基礎控除」という誰でも使える無税枠があります。大きさは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。相続人が1人増えるごとに、無税ラインは600万円ずつ上がります。
5,000万円は、ちょうどこの無税ラインと重なる金額帯です。相続人が1人なら3,600万円までが無税なので、はみ出す1,400万円に税金がかかります。相続人が4人いれば無税ラインは5,400万円まで上がり、5,000万円はまるごと枠の中。だから0円になります。5,000万円の相続税が0円か160万円かは、この無税ラインを超えるかどうかで決まります。
税率10〜55%におびえなくていい理由
税率の表には最高55%という数字が載っています。しかし税率は、遺産全体ではなく、無税ラインを超えた部分を法定の割合で分けた後の金額に掛かります。しかも低い金額には低い税率しか掛かりません。5,000万円で子1人の例でも、実際に納めるのは約160万円。遺産全体から見れば3%ほどです。「半分持っていかれる」というイメージは、5,000万円くらいの遺産にはまず当てはまりません。相続税の計算全体の流れは、相続税の計算シミュレーションの記事でも3ステップで解説しています。
実は「実家がある5,000万円」ほど0円になりやすい

ひとことで言うと──「実家+預貯金で5,000万円」の家は、早見表の金額より安くなることがほとんどです。不動産は売値より安い評価額で数え、さらに自宅の土地は8割引きにできるからです。
| 5,000万円の中身 | 税金計算での数え方 | 結果 |
|---|---|---|
| すべて預貯金 | 残高そのまま5,000万円 | 早見表どおり |
| 実家(土地)中心 | 評価額は売値の8割ほど+土地は8割引き | 大きく下がり0円も |
ここが5,000万円の相続で見落とされがちな点です。同じ「5,000万円」でも、中身が預貯金か実家かで、税金計算での数え方がまったく違います。
まず、不動産は売値ではなく「評価額」で数えます。評価額は税務署向けの値札のようなもので、土地はおおむね売値の8割が目安です。「売れば5,000万円」の実家でも、税金計算では4,000万円前後になることがあります。
さらに強力なのが、自宅の土地の割引です。条件を満たす人が実家の土地を相続すると、330㎡までの部分は評価額が80%引きになります。5,000万円の土地を1,000万円として計算できる、効果の大きい割引です。この割引を使うと、実家中心の5,000万円は無税ラインの下に収まり、0円になることも珍しくありません。使えるかどうかや条件は小規模宅地の特例の記事でくわしく解説しています。
「5,000万円」の中身は動く
そもそも「うちは5,000万円」という見積もりも、正確ではないことがあります。借金・未払金・葬儀費用は遺産から引けます。逆に、生命保険の保険金や、亡くなる前の一定期間にあげた贈与は足し戻します。何を足して何を引くかで、5,000万円という金額そのものが動きます。だからこそ、まずは中身を書き出して確かめることが大切です。
0円でも申告が必要な場合・いらない場合

ひとことで言うと──同じ「0円」でも、2種類あります。無税ラインの中で0円なら申告はいりません。しかし割引を使って0円にしたなら、税額0円でも申告が必要です。ここを間違えると割引が使えなくなります。
| 0円になった理由 | 申告は必要? | 具体例 |
|---|---|---|
| 無税ライン(基礎控除)の中に収まった | 原則いらない | 5,000万円・相続人4人 |
| 配偶者の割引を使って0円にした | 必要 | 配偶者が相続 |
| 自宅の土地の割引を使って0円にした | 必要 | 同居の子が実家を相続 |
5,000万円の相続では、多くの家庭が最終的に0円に落ち着きます。しかし、その0円には2つの種類があり、やるべきことが正反対です。
1つ目は、無税ラインの中に収まって0円になるパターンです。5,000万円で相続人が4人なら、無税ラインは5,400万円。はじめから枠の中なので、この場合は税務署への申告は原則いりません。
2つ目は、配偶者の割引や自宅の土地の割引を使って0円にするパターンです。こちらは注意が必要です。割引で0円にする場合は、税額が0円でも期限内に申告しないと割引は使えません。「0円になるはずだから何もしなくていい」と考えて申告しないと、割引が認められず、あとから税金を請求されることがあります。実家中心の5,000万円で土地の割引を当てにしている方は、必ず申告する、と覚えておいてください。
「うちの0円は、申告がいる方?いらない方?」の見極めは、割引の使い方しだいで変わります。
期限は10か月。やることは4つ
ひとことで言うと──期限は「相続を知った日の翌日から10か月」です。①財産のリストアップ → ②分け方の話し合い → ③評価と税額の計算 → ④申告・納税、の順で進めます。
- ステップ1:財産をリストアップする── 預貯金・不動産・株・保険・借金を洗い出し、5,000万円の中身を確かめる
- ステップ2:分け方を家族で話し合う── 誰が何をもらうかを決める(遺産分割協議=誰が何をもらうか決める家族会議)。割引が使えるかは分け方で変わる
- ステップ3:評価額を調べて税額を計算する── 不動産は評価額で数え、無税ラインと割引を反映する
- ステップ4:10か月以内に申告・納税する── 割引を使う場合は、税額0円でも申告する
10か月は、長いようで短い期間です。財産調べと家族の話し合いに、思った以上に時間がかかるからです。期限に遅れると割引が使えなくなり、延滞分の税金も上乗せされます。5,000万円くらいの遺産では、少しの手間の差で税額0円と数十万円が分かれます。
もし話し合いが決着しなくても、あきらめる必要はありません。「3年以内に分ける見込みです」という書類を付けて、期限内にいったん申告しておけば、決着した後に割引を使って払いすぎた税金を取り戻せます。もめそうな家庭ほど、この1枚を忘れないでください。
よくある質問
5,000万円の相続でよく届く5つの質問に答えます。
Q1. 遺産が5,000万円ちょうどでも、相続税はかかりますか?
A. 相続人の人数しだいです。無税ライン(3,000万円+600万円×人数)を超えるかどうかで決まります。配偶者と子3人など相続人が4人以上なら0円。子1人だけなら3,600万円までが無税なので、約160万円かかります。
Q2. 実家などの不動産で5,000万円のときは、どう数えますか?
A. 不動産は売値ではなく評価額で数えます。土地は路線価でおおむね売値の8割が目安です。さらに自宅の土地は小規模宅地の特例で330㎡まで8割引きになるため、5,000万円が大きく下がり0円になることもあります。ただし特例を使う場合は、税額0円でも申告が必要です。
Q3. 借金や葬儀費用があるときは、5,000万円から引けますか?
A. 引けます。借金・未払金・葬儀費用は遺産の合計から差し引きます。一方、生命保険の保険金は遺産に足しますが、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。足し引きの結果で、5,000万円という金額そのものが動きます。
Q4. 生前にもらった贈与は、5,000万円に足しますか?
A. 亡くなる前の一定期間に相続人がもらった贈与は、遺産に足し戻して計算します。足し戻す期間は、2024年から段階的に7年へ広がっています。直前の駆け込み贈与では税額を減らせない、と覚えておいてください。
Q5. 相続した実家を売ったら、別の税金がかかりますか?
A. 売った利益には、相続税とは別に譲渡所得税がかかります。持っていた期間(亡くなった方の期間も通算)が5年を超えていれば税率20.315%、5年以下なら39.63%です。相続から3年10か月以内に売ると税金が安くなる制度もあるので、売る予定がある方は時期の設計が大切です。
まとめ
ひとことで言うと──5,000万円の相続税は「相続人の人数」でほぼ決まり、0円〜約160万円。実家中心なら0円になりやすく、その0円は申告が必要なこともあります。
3点要約
- いくら?:5,000万円の相続税は0円〜約160万円。配偶者と子2人なら約10万円、配偶者と子3人なら0円、子1人だけなら約160万円。人数が多いほど安くなります。
- なぜ変わる?:無税ラインが「3,000万円+600万円×相続人の数」で決まるから。実家中心なら評価額と土地の割引で、さらに0円に近づきます。
- 何をする?:期限は10か月。割引を使って0円にする場合は、税額0円でも申告が必要です。
出典・根拠:国税庁タックスアンサー No.4152(相続税の計算・基礎控除)/No.4155(相続税の税率)/No.4158(配偶者の税額軽減)/No.4157(相続税額の2割加算)/No.4124(小規模宅地等の特例)・租税特別措置法69条の4/No.4205(申告と納税・期限10か月)/No.4114(死亡保険金の非課税枠)/No.4161(生前贈与の加算)/No.3267(取得費加算の特例)/相続税法15条・16条(基礎控除・税率)/マンション評価の新ルール(国税庁・令和5年9月28日 法令解釈通達 課評2-74・課資2-16)
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