生前贈与で相続税はいくら減る?── 渡し方で変わる効果額と、7年ルールの落とし穴

生前贈与で減らせる相続税を表すアイキャッチ。差し出す贈り物の箱に『渡し方で数十万〜数百万円』のタグ

財産1億円・子2人の家庭が、子2人へ毎年110万円ずつ10年間渡したとします。このとき減らせる相続税は約130万円です。ところが渡す額も年数もそのままで、使う制度だけを変えると、減らせる相続税は約330万円になります。減らせる相続税の差は約200万円です。分かれ目は金額ではなく、どの制度で渡したかにあります。

あなたの状況減らせる相続税(目安)この記事の読み方
財産が4,200万円以下0円(相続税がかからない)まず仕組みを見る
相続まで10年以上ありそう約130万〜290万円計算機で試算する
相続まで数年かもしれない暦年贈与なら約30万円7年ルールを見る
実家そのものを渡したい減るより増えることが多い不動産の章へ

※ 減らせる相続税は、財産1億円・相続人は子2人(配偶者なし)・子2人へ毎年110万円ずつ渡した場合の概算です。渡した分が戻される期間が7年になる時期、つまり2031年以降の相続を前提にしています。実際の金額は財産の中身や家族構成で変わります。

そもそも自分の家に相続税がかかるか分からない方は、先に相続税の計算シミュレーションをご覧ください。財産が基礎控除以下なら、生前贈与で減らせる相続税はもともと0円です。仕組みから読みたい方は、生前贈与で相続税は本当に減る?へお進みください。

この記事を読むと:

  1. 生前贈与で自分の家の相続税がいくら減るかを、計算機で3秒で試算できます
  2. 毎年110万円ずつが効かなくなる7年ルールと、その回避策がわかります
  3. 実家を生前贈与すると損しやすい理由と、代わりの手がわかります

生前贈与で相続税は本当に減る?

生前贈与の仕組みを示す対比図。渡す前の財産から先に渡した分を外に出すと、税金がかかる分が小さくなる
図1:先に一部を渡しておくと、相続税がかかる財産が小さくなる

ひとことで言うと──減ります。ただし減る額は、いつから始めたかと、どの制度を使ったかで決まります。0円のこともあれば、数百万円になることもあります。

渡し方減らせる相続税
亡くなる直前に渡したほぼ0円
7年より前に渡した渡した分だけ減る
精算課税の年110万円いつ渡しても減る

相続税は「亡くなった日に残っていた財産」にかかる

相続税は、亡くなった日に持っていた財産の合計にかかります。だから先に一部を渡しておけば、合計が小さくなります。これが生前贈与で相続税が減る理由です。

相続と贈与のちがいは、渡す時期と相手を自分で選べるかどうかです。相続は亡くなってから始まります。贈与は生きているうちに、誰にいくら渡すかを自分で決められます。

ただし、相続税がかかる家庭は多数派ではありません。財産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下なら、相続税はかかりません。子2人なら4,200万円です。この金額以下なら、生前贈与で減らせる相続税はもともと0円です。自分の家がいくらの財産になるかは、相続税評価額の考え方から確かめてください。

贈与税が0円でも、相続税が減るとは限らない

「年110万円までなら税金がかからない」とよく言われます。これは正しい説明です。ただし、ここでいう税金とは贈与税のことです。

贈与税がかからないことと、相続税が減ることは別の話です。贈与税が0円でも、相続税が1円も減らないことがあります。亡くなる前の一定期間に渡した分は、相続財産に戻して計算されるからです。

この「戻される」仕組みが、生前贈与でいちばん見落とされる点です。くわしくは3つめの見出しで説明します。

2024年に「正解」が入れ替わった

2024年1月に、贈与のルールが大きく変わりました。変わった点は2つです。

  • 暦年贈与は不利になった:戻される期間が3年から7年へ、段階的に延びます
  • 相続時精算課税は有利になった:年110万円までの枠ができ、その分は戻されません

改正前は「相続時精算課税は使うな」が定番の助言でした。今は逆になる場面があります。古い記事を読んで判断すると、選択を誤ります。

うちはいくら減る?

同じ金額と年数でも制度で効果が変わることを示す棒グラフ。暦年贈与は約130万円減、相続時精算課税は約330万円減
図2:財産1億円・子2人が毎年110万円ずつ10年渡した場合。同じ金額・同じ年数でも、暦年贈与なら約130万円、相続時精算課税なら約330万円と効果が変わる

ひとことで言うと──財産1億円・子2人なら、毎年110万円ずつ10年で減らせる相続税は約130万円です。同じ額と年数でも、相続時精算課税を使えば減らせる相続税は約330万円になります。

生前贈与で減らせる相続税シミュレーション(概算)
減らせる相続税:
何もしない場合の相続税:
※ 概算です。相続人は子のみ(配偶者なし)、贈与を受けるのは子全員、戻される期間は7年として計算しています。正確な金額は財産の中身で変わります。
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自分の家でどの渡し方が有利か知りたい方へ

財産の中身、家族の年齢、不動産の割合。この3つで有利な制度は変わります。相続に強い税理士が、いまの状況に合う渡し方を一緒に整理します。

渡し方と財産額で見る早見表

子2人へ10年間渡した場合の目安です。金額は減らせる相続税を表します。

渡し方財産5,000万円財産1億円財産2億円財産3億円
毎年110万円ずつ約70万〜90万円約110万〜150万円約230万〜290万円約300万〜380万円
毎年310万円ずつ渡しすぎ約170万〜210万円約440万〜550万円約630万〜780万円
精算課税で110万円約70万〜90万円約290万〜370万円約590万〜730万円約790万〜970万円
住宅資金1,000万円約70万〜90万円約270万〜330万円約540万〜660万円約720万〜890万円

※ 相続人は子2人のみ(配偶者なし)、贈与を受けるのは子2人、戻される期間は7年で計算しています。「渡しすぎ」は、渡す総額が財産の7割を超えて老後の生活費が残らない組み合わせです。

この表の前提

数字の前提をそろえておきます。ここが変わると結果も変わります。

  • 相続人は子だけ:配偶者がいる場合は税額が大きく下がるため、別の試算が必要です
  • 財産はすべて現金として計算:不動産が多い家庭は評価額で変わります
  • 贈与するのは子全員へ均等:渡す相手を増やすほど効果は大きくなります
  • 年数は贈与を始めてから相続までの期間:長いほど効果が出ます

財産が基礎控除以下なら、効果はない

財産が基礎控除の枠に収まっていれば、相続税はもともとかかりません。この場合、生前贈与をしても減らせる相続税は0円です。

それでも贈与に意味がないわけではありません。渡したい相手に確実に渡せること自体が目的になります。ただし節税を目的にするなら、まず自分の家に相続税がかかるかを確かめてください。

110万円ずつ渡しても減らないことがある

生前贈与の持ち戻しを示す時間軸の図。相続の日から7年前までに渡した分は相続財産に戻され、それより前に渡した分は相続税が減る
図3:亡くなる前の一定期間に渡した分は相続財産に戻される。将来は7年分だが、2026年中の相続ならまだ3年分

ひとことで言うと──亡くなる前の一定期間に渡した分は、相続財産に戻して計算されます。この期間はこれから7年まで延びていきます。

相続が起きる時期戻される期間
2026年12月31日まで3年
2027年〜2030年2024年1月1日以降の分
2031年1月1日以降7年

戻されると、渡した意味がなくなる

相続税を計算するとき、亡くなる前の一定期間に渡した財産は、相続財産に足し戻されます。渡していなかったものとして扱う、という意味です。

たとえば財産1億円・子2人の家庭で、毎年110万円を5年間、子2人に渡したとします。渡した総額は1,100万円です。しかし相続が近ければ、そのほとんどが足し戻されます。5年間で1,100万円を渡しても、減らせる相続税は約30万円にとどまります

贈与税は1円もかかっていません。それでも相続税はほとんど減らない、という結果になります。

今はまだ3年。7年になるのは2031年から

「戻される期間が7年に延びた」という説明をよく見かけます。これは半分だけ正しい説明です。

期間は一度に延びたのではなく、段階的に延びていきます。2026年中に相続が起きるなら、戻されるのはまだ3年分です。7年分がまるごと戻されるのは、2031年1月1日以降の相続からです。

その間の時期は、2024年1月1日から亡くなった日までが対象になります。つまり2027年の相続なら約3年分、2030年の相続なら約7年分です。今から始める方は、7年で戻されると考えて計画してください。

4年より前の分は100万円だけ引ける

延びた部分には、小さな緩和策があります。亡くなる4年前から7年前までに渡した分については、合計100万円まで足し戻さなくてよいことになっています。

この100万円は、1年ごとではなく期間全体での金額です。受け取った人ごとに100万円と数えます。緩和策としては小さく、結論を変えるほどの効果はありません。

精算課税の110万円は戻されない

ここが2024年改正でいちばん大きな変更点です。相続時精算課税を選んだ場合、毎年110万円までの枠は相続財産に足し戻されません。

相続時精算課税の年110万円は、いつ渡しても戻されません。亡くなる前年に渡した分でも同じです。だから残された時間が短い家庭ほど、この制度が効きます。

先ほどの5年の例で比べます。暦年贈与なら減らせる相続税は約30万円でした。同じ額を相続時精算課税で渡すと、減らせる相続税は約165万円になります。5倍以上の差です。

暦年贈与と精算課税、どっちを選ぶ?

ひとことで言うと──残された時間が長いなら暦年贈与、短いなら相続時精算課税が有利です。暦年贈与は毎年110万円を非課税で渡す方法、相続時精算課税は相続のときにまとめて精算する方法を指します。

項目暦年贈与相続時精算課税
毎年の非課税枠110万円110万円
相続時に戻されるか最長7年分が戻る戻らない
使える人制限なし60歳以上から18歳以上の子や孫へ
途中でやめるいつでも可元に戻せない
手続き110万円以下は不要初年度に届出が必要
向いている人時間に余裕がある時間が限られている

時間があるなら暦年贈与

贈与を始めてから相続まで10年以上ありそうなら、暦年贈与が有利です。7年を超えた分は完全に相続財産から外れるからです。

渡す相手を増やすほど効果は大きくなります。子だけでなく、子の配偶者や孫にも渡せます。孫への贈与は、多くの場合そもそも足し戻しの対象になりません。孫は相続人ではないためです。

時間が限られているなら相続時精算課税

親がすでに高齢だったり、健康に不安があったりする場合は、相続時精算課税を検討してください。年110万円までの枠が足し戻されないためです。

この制度は、贈与する人ごとに選びます。父について選んでも、母からの贈与は暦年贈与のまま続けられます。両親それぞれから年110万円ずつ受け取ることもできます。

選ぶ前に知っておくこと

相続時精算課税には、注意すべき点が3つあります。

  • 元に戻せない:一度選ぶと、その人からの贈与は生涯この制度が続きます
  • 初年度に届出が必要:出し忘れると制度そのものが使えません
  • 土地の割引が使えなくなる:この制度で渡した宅地は、相続時の大きな割引の対象外です

年110万円を超えた分は、累計2,500万円まで贈与税がかかりません。ただしその分は相続財産に足し戻されます。2,500万円を超えると、超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。

110万円以外にもある非課税の枠

使いみちを決めて渡すなら、まとまった額を非課税で渡せる制度があります。期限があるものが多いため、時期に注意してください。

制度非課税の上限期限
住宅を買う資金1,000万円2026年12月31日
結婚・子育ての資金1,000万円2027年3月31日
夫婦間で自宅を渡す2,000万円期限なし
教育資金をまとめて2026年3月に終了

住宅資金の枠は、省エネ性能の高い住宅なら1,000万円、それ以外は500万円です。子や孫がこれから家を買うなら、2026年12月31日までの贈与が対象です。この枠で渡した分も相続財産に足し戻されません。

夫婦間で自宅を渡す制度は、婚姻期間が20年を超えていることが条件です。同じ相手からは一生に一度だけ使えます。教育資金をまとめて渡す制度は、2026年3月31日で新しい申し込みが終わりました。すでに預けてある分は、そのまま使えます。

実家を生前贈与すると損する?

実家を贈与でもらう場合と相続でもらう場合の税金の対比図。贈与は名義書き換えが2%で不動産取得税もかかり土地の割引も使えない
図5:実家を贈与でもらうと、名義書き換えの税金が5倍になり、相続なら不要な不動産取得税もかかる。土地の8割引きも使えない

ひとことで言うと──多くの場合は損です。名義を書き換える税金が5倍になり、相続ならかからない税金が新たに発生し、土地の大きな割引も使えなくなります。

かかる税金贈与でもらう相続でもらう
名義書き換えの税金評価額の2%評価額の0.4%
不動産取得税かかるかからない
土地の8割引き使えない条件を満たせば使える

名義書き換えの税金が5倍になる

不動産の名義を変えるときには、登録免許税という税金がかかります。相続でもらう場合は評価額の0.4%です。贈与でもらう場合は2%になります。

評価額3,000万円の実家なら、相続で12万円、贈与で60万円です。差は48万円になります。

相続ならかからない税金が発生する

不動産取得税は、相続でもらう場合にはかかりません。しかし贈与でもらう場合はかかります。土地や住宅なら、原則として評価額の3%です。土地については、評価額の半分を対象とする特例があります。

贈与税の特例を使った場合でも、この税金は別にかかります。夫婦間で自宅を渡す制度を使っても、相続時精算課税を使っても同じです。

いちばん大きいのは土地の割引を失うこと

実家の土地には、相続のときに評価額を最大80%減らせる制度があります。330平方メートルまでの自宅の土地が対象です。

この割引は、相続や遺言でもらった土地にしか使えません。生前に贈与でもらうと対象外になります。評価額3,000万円の土地なら、2,400万円分の割引を失う計算です。減らせる相続税より、失うもののほうがはるかに大きくなります。適用条件は小規模宅地の特例で確認してください。

それでも不動産の贈与が向く場合

例外もあります。次のような場合は、贈与を検討する価値があります。

  • これから大きく値上がりしそうな土地:早めに渡せば低い評価額で移せます
  • 家賃が入ってくる物件:贈与後の家賃は子の収入になり、親の財産が増えません
  • 婚姻20年を超えた夫婦の自宅:2,000万円の枠が使えます
  • 誰に渡すかを確実に決めたい:争いを避けることが目的の場合です

いずれの場合も、失う割引と増える税金を数字で比べてから決めてください。

実家を渡すべきか迷っている方へ

土地の割引をいくら失うか、名義書き換えでいくらかかるか。金額を並べれば答えは決まります。相続に強い税理士が、贈与と相続の両方を試算します。

税務署に否認されない渡し方

ひとことで言うと──証拠が残っていない贈与は、なかったことにされます。契約書・銀行振込・通帳の管理の3つをそろえてください。

  • 毎年、贈与契約書をつくる:その年ごとに新しく作ります
  • 銀行振込で渡す:日付と金額と相手が記録に残ります
  • 通帳と印鑑は受け取る人が持つ:本人が使える状態にします
  • 110万円を超えたら申告する:翌年の3月15日までです
  • 「毎年◯万円を◯年間」と最初に約束しない:まとめて課税されることがあります

名義預金と言われないために

子や孫の名前で口座を作り、親がお金を入れているだけの状態を名義預金といいます。この場合、名義が子でも親の財産として扱われます。

分かれ目は、受け取った人が自由に使える状態かどうかです。通帳も印鑑も親が持ち、子が口座の存在すら知らないなら、贈与とは認められません。受け取る人が自分で管理していない口座は、贈与になりません

「毎年決まった額」の約束は危ない

「毎年100万円を10年間渡す」と最初に約束したとします。この場合、約束した年に1,000万円を渡す権利を贈与したとみなされることがあります。これを定期贈与といいます。

そうなると、1,000万円に対して贈与税がかかります。防ぐには、その年ごとに贈与を決め、毎回契約書を作ることです。金額や時期を毎年少しずつ変える方法もあります。

贈与契約書に書く4つの項目

契約書は難しい書式ではありません。次の4点が書いてあれば足ります。

  1. 誰が誰に渡すか:贈る人と受け取る人の氏名と住所
  2. いつ渡すか:贈与を約束した日付と、実際に渡す日
  3. 何をいくら渡すか:現金なら金額、不動産なら所在地を書きます
  4. 渡す方法:振込先の口座を書いておきます

両者が署名して押印します。作った契約書は、相続が終わるまで保管してください。

よくある質問

ひとことで言うと──生前贈与でよく聞かれる6つの質問に答えます。気になるものだけ読んでください。

生前贈与は年110万円までなら、申告はいりませんか?

暦年贈与なら、年110万円までは申告も納税も必要ありません。ただし相続時精算課税を使う場合は、はじめの年に届出書を税務署へ出す必要があります。届出を出さないと制度が使えません。出した後は、年110万円以下なら申告は不要です。申告が不要でも、契約書と振込の記録は必ず残してください。

孫に贈与した分も、相続のときに戻されますか?

多くの場合、戻されません。戻されるのは、相続や遺言で財産を受け取った人への贈与だけだからです。孫は通常、相続人ではありません。遺言で財産をもらったり、生命保険金を受け取ったりしなければ対象外です。時間が足りない家庭では、孫への贈与が効きやすくなります。

現金を手渡しで渡してもいいですか?

法律上は成立します。しかし税務署に対しては証拠が残りません。あとから「いつ渡したのか」を示せず、認められないことがあります。銀行振込なら、日付と金額と相手が記録に残ります。手間はほとんど変わらないため、振込をおすすめします。

相続時精算課税を選ぶと、暦年贈与には戻れませんか?

戻れません。この制度は贈与する人ごとに選びます。父について選ぶと、父からの贈与は生涯この制度が続きます。父からの110万円の暦年の枠は、その後は使えません。ただし母からの贈与は別に扱われます。選ぶ前に、どちらが有利かを必ず試算してください。

きょうだいの一人にだけ多く贈与すると、もめませんか?

もめる原因になります。相続人には遺留分という最低限の取り分があります。相続人への贈与は、原則として相続開始前10年以内の分がこの計算に入ります。侵された側は、お金で返すよう請求できます。誰にいくら渡したかを記録に残し、できれば家族で共有しておいてください。

教育資金の一括贈与は、まだ使えますか?

新しく申し込むことはできません。孫などへ教育資金をまとめて渡せる制度は、2026年3月31日で新規の受付が終わりました。すでに契約して預けてある分は、契約が続く間は使えます。これから援助するなら、必要になった都度、学費を直接支払う方法があります。都度の教育費の援助は、もともと贈与税がかかりません。

まとめ

ひとことで言うと──生前贈与の効果を決めるのは金額ではありません。いつから始めたかと、どの制度を選んだかです。

今日からの4ステップ

  1. 相続税がかかるか確かめる:財産が「3,000万円+600万円×相続人の数」以下なら、生前贈与で減らせる相続税は0円です
  2. 残された時間を見積もる:10年以上あるなら暦年贈与、短いなら相続時精算課税が有利です
  3. 渡すものを選ぶ:現金から始めます。実家などの不動産は、割引を失うため慎重に判断します
  4. 証拠を残す:毎年の契約書と銀行振込。通帳は受け取る人が管理します

3つだけ覚えて帰ってください。1つめ、贈与税が0円でも相続税が減るとは限りません。2つめ、時間が短いなら相続時精算課税を検討してください。3つめ、実家をそのまま渡すのは多くの場合で損になります。

出典・根拠:国税庁タックスアンサー No.4408(贈与税の計算と税率。基礎控除額110万円。特例贈与財産=贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者が直系尊属から取得した財産。特例税率は基礎控除後200万円以下10%、400万円以下15%・控除10万円ほか)/No.4161(相続開始前に贈与があった場合の加算。令和6年1月1日以後の暦年課税の贈与は加算対象期間が相続開始前7年以内。相続開始日が令和8年12月31日までは3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日までは令和6年1月1日から死亡の日までの間、令和13年1月1日以後は7年以内。相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合、相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については総額100万円までは加算されない。加算された贈与財産に係る贈与税額は相続税額から控除する)/No.4103および国税庁「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」(相続時精算課税。贈与者は贈与の年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は同日において18歳以上の直系卑属である推定相続人または孫。令和6年1月1日以後の贈与から年110万円の基礎控除を創設し、相続税の課税価格に加算するのは基礎控除額を控除した後の残額。特別控除額は累計2,500万円、超過分は一律20%。基礎控除額以下なら贈与税の申告は不要だが、初年度の相続時精算課税選択届出書は必要)/No.4508(住宅取得等資金の贈与の非課税。令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与が対象。省エネ等住宅1,000万円、その他の住宅500万円。受贈者の合計所得金額2,000万円以下ほかの要件あり)/No.4511(結婚・子育て資金の一括贈与の非課税。適用期限は令和9年3月31日、非課税枠1,000万円のうち結婚関係の費用は300万円まで)/No.4452(夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除。婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与であること、最高2,000万円、同じ配偶者からは一生に一度)/No.4155および No.4152(相続税の税率と計算。基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数。法定相続分に応ずる取得金額1,000万円以下10%、3,000万円以下15%・控除50万円、1億円以下30%・控除700万円ほか)/No.4124(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例。相続または遺贈により取得した宅地等が対象で、特定居住用宅地等は330平方メートルまで80%減額。生前贈与により取得した宅地は対象外)/東京都主税局「不動産取得税」(令和9年3月31日までに宅地等を取得した場合の課税標準額は価格の2分の1。相続により取得した場合は課税されない。夫婦間の居住用不動産の贈与の特例や相続時精算課税制度の適用を受けた場合でも不動産取得税の課税の対象となる)/国土交通省「住宅:不動産取得税に係る特例措置」(令和9年3月31日までに取得した土地および住宅の税率は3%、住宅以外の家屋は4%)/登録免許税は所有権移転登記につき相続0.4%、贈与2.0%/教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は令和8年3月31日をもって新規の拠出受付を終了(令和8年度税制改正大綱)。計算機と早見表の数値はすべて概算です。相続人は子のみ(配偶者なし)、財産はすべて現金、贈与を受けるのは子全員、加算対象期間は7年という前提で計算しています。配偶者がいる場合、不動産の割合が大きい場合、贈与する相手を子以外に広げる場合は結果が変わります。実際の税額は必ず税理士にご確認ください。

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